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愛なんて知らなければ好かった。

初恋の君との永遠のお別れ。思い出の昇華に書き綴る懺悔の言葉。

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14

1993

愛なんて知らなければ好かった

目が覚める度に、全てが夢だったら好いのにと願う。昨日までの事は、全て夢なら良かったのに、と思う。神様、どうかお願いです、今日から10年昔の事までを忘れたいのです。貴方の日記から、あの頃の私を、消しゴムでキレイに消し去って下さい。何も知らなくても安全で居られた私を、返して下さい。痛みを知らずに居た頃の私を、思い出すのが怖い。幸せを幸せと感じる事もなかった頃の、自分が憎い。愛なんて、知らなければ良かった...

03

2014

最期の手紙

泣きながら手紙を読んだ貴方がこの世界から消えても貴方の手紙は届いた貴方が居なくても世界は間違いなく動くのだという証明の様に貴方の手紙は届いた私は薄い戸に額をつけ床に膝をついたままボロボロと涙を零して貴方の手紙を読んだこの世界から消えてもなお貴方は私を苛み続ける...

28

2014

最後の午後

 ベッドのスプリングが軋んで小さな呼吸と重なり、嬌声と嗚咽の様なくぐもった息遣いは不規則に折り重なって、やがてそれは速さを増していく。「……ん、はぁ……あっ、ぁ……ん…………鉱二、もっと……」「もっと、どうして欲しい……?」 その言葉には大人の余裕など微塵も感じられず、優しげな笑みを湛えた唇は焦らす事すらもどかしげに愛莉栖のそれに重ねられる。ベッドに横たわる愛莉栖の内腑を掻き回す鉱二の指は、ふやける程に濡れてい...

01

2014

L'amour est bleu

 リビングのテーブルに置かれたハリオのポットの中で、ゆっくりと茶葉が開いていくのを愛莉栖はぼんやりと見つめていた。鉱二はキッチンに立って流暢なフランス語で微かに何か歌いながら、手製のデビルズフードケーキを切り分けている。「……その歌なぁに? 」 愛莉栖がポットから目を離さずに訊く。「"L'amour Est Bleu"えーとね……邦題は『恋はみずいろ』って歌だよ。僕のフランス語が若干怪しいから歌詞は半分アレンジ入ってる...

01

2014

幕間『禁治産者』

「ねぇ、鉱二? 前から気になってたんだけど、鉱二はずっとお家に居るのに、なんでこんなに高そうな物ばかりお部屋に溢れてるの? お仕事はしてないんだよね? 」「仕事してないのは禁治産者だからだよ。うちに物が溢れてるのは、昔稼いでた時分の財産が残ってるだけ」「禁治産者……ってなぁに? 」「知能や精神に欠陥があって財産管理が困難な人の事。だから僕自身は税金も病院代も納めてないよ」「あー……」「何、その反応は」「そ...

03

2014

安眠妨害

 ふと、愛莉栖が目を覚ますと、隣で寝ていた鉱二が居なかった。不安になって身を起こすと、リビングから話し声が聞こえてくる。一瞬、芳雪がいるのだと思ったが、聞こえてきたのは女性の声だった。(お客さん、かな……? ) 愛莉栖は訝りながら寝室の扉まで近づき、聞くともなしに聞こえてくる会話に耳を欹てる。どうやら話を聞くに、女性は鉱二の元恋人のようだった。(……何でこんなところに? ) 彼女の話す言葉に、愛莉栖は少...

03

2014

幕間『遺産相続』

「今更かも知れないけどさ、芳雪。僕の没後、僕の財産は誰に、どんな形で遺したらいいのだろうね? 」「僕はあくまで君が生きてる間、管理するだけだからね。受け取らないよ? あんな莫大な遺産……、正直扱いに困るし、君の家族の反応も怖いし」「家族か……実家方面には遺したくないよな。荒れるの目に見えてるし」「かと言って、君には配偶者も子供も居ないしな……、そうだ、あの子に託すっていう選択肢はないのか? 」「愛莉栖ちゃ...

04

2014

秘密

 ある日の午後、鉱二は支倉邸を留守にしていた。珍しく疲れた様子の愛莉栖は寝室の扉を開け放したまま、クイーンサイズの大きなベッドに倒れ込む。リビングでノートパソコンに向かい、何かの事務処理をしていた芳雪が、愛莉栖のあまりの憔悴っぷりに見かねて声をかける。「愛莉栖さん? 学校で何かあったの? 」「……聞いてくれる? 」 ベッドにうつ伏せになって、枕に顔を埋めたまま、愛莉栖は芳雪の問いかけに応える。「……なん...

05

2014

埋葬

 ──二月の或る日、最愛の人を失った。彼と、少女と、二人して。 葬儀には出られなかった。出る訳にはいかなかった。だから二人で会って、あの人への最後の想いを共有し合おうという事になった。愛莉栖は芳雪の想いを知っていた。彼も愛莉栖と同じに、鉱二を愛していた。だから、彼が自分の膝に縋って泣くのを、愛莉栖は少し羨ましく思いながら見ていた。愛莉栖は、感情で泣く事が出来ない。愛莉栖の心は両親から受けた虐待の後遺...

05

2014

幕間『お金と美徳』

「愛莉栖ちゃん、ちょっと思ったんだけどさ、僕、愛莉栖ちゃんにお小遣いとか渡した方がいいかな? 」「え……何、突然……。私は別にそんな物が目的で付き合ってるわけじゃないから別に要らないけど……」「いや、せめて送り迎えが出来ない時の交通費くらいは出した方がいいかなー、って思ってさ。……なんとなくだけど」「それってなんか、囲われてるみたいで嫌」「囲われ……どこで覚えてくるのそんな言葉……」「なんだっけ……何かの小説? ...

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